忙しい毎日のストレスから暴飲暴食を繰り返し、生活習慣病のメタボリックシンドロームになってしまう人が後を絶ちません。
一方で外見に問題はなさそうに見えても、健康診断の数値があまり良くない人もいます。
しかし、多少ぽっちゃりとしているくらいであればまったく問題ないと主張する専門家もいます。
実は、本当に気をつけなければならない点というのは、自分の体についている皮下脂肪と内臓脂肪のバランスです。その違いを把握して、適切な対策をとる必要があります。
この記事の目次
内臓脂肪と皮下脂肪の違い
それでは内臓脂肪と皮下脂肪の違いをわかりやすく紹介します。
内臓脂肪とは
まず内臓脂肪というのは外見に分かりにくいほうの脂肪です。
具体的には腹筋よりも内部に潜り込むようにしてついてしまいます。そうなると腰回りが丸みを帯びて太くなりますので、見た目の印象でよく「リンゴ型」と称されます。
まさに生活習慣病が直接関係する脂肪で、とくにお酒好きの人は注意しなければなりません。痩せているのに内臓脂肪が多いという人によくある傾向ですが、お酒の飲み過ぎは単純にカロリーの過剰摂取となります。
食べ過ぎによる脂肪は皮下脂肪となりますが、固形物でなく液体の、取りすぎたカロリーは内臓脂肪に変わりやすくなっています。
その理由として、お酒に含まれるアルコールは通常の栄養の消化だけでなく長い時間をかけて肝臓などで毒素を分解しなければなりません。
その作業にかかる時間の中で、それらのカロリーが内臓器官のまわりに脂肪となって蓄積されていくわけです。
この脂肪が増えすぎると内臓器官を圧迫してしまうので、場合によっては大きな病気を引き起こしてしまう可能性もあります。
代表的な例としては高脂血症や動脈硬化などがあげられます。
皮下脂肪とは
一方、皮下脂肪というのは単純に食べ過ぎの人がつけてしまう脂肪です。人の身体の代謝は意外にもシンプルです。
1日で使用するエネルギー量を超えてカロリーを摂取してしまうと、処理しきれなかった分が脂肪となって体内に蓄積されていきます。
皮下脂肪は漢字が現している通りに皮膚の下につく脂肪です。外見の印象としては全体的にむくみを帯びた体型になってしまいます。
一番脂肪を蓄えやすいお腹が膨らむのはもちろんですが、顔の周りに肉がついたり腕や太腿、いたるところが太くなります。
全体的な印象で肥えてしまったと感じられる場合は皮下脂肪がついてしまったと考えられます。内臓脂肪で太ってしまった人を「リンゴ型」と称するのに対し、皮下脂肪はよく「洋ナシ型」と例えられます。
内臓脂肪と最も異なる点は、皮下脂肪というのは人間の防衛本能が招いているという点です。動物の世界はいつ飢餓に見舞われるかわかりません。
そこで、取りすぎた栄養をいざという時のために蓄積させておこうとします。これが皮下脂肪になります。つまり、この脂肪を燃焼しようとする場合は、その危機的状況を適度に自分で招かなければいけません。
そうでなければ備蓄された脂肪を身体が使用しようとはしないからです。
見分け方とそれぞれの脂肪の落とし方
内臓脂肪と皮下脂肪を見分けよう
内臓脂肪と皮下脂肪の違いがわかったら後はそれぞれの見分け方をすることによって、自分がどちらのタイプに当てはまるのかを知る必要があります。
それぞれ「リンゴ型」と「洋ナシ型」というふうに分けましたが、これはあくまでも例えであり、なんとなくの印象で判断を決めてしまうのはリスクがあります。
まず見分け方としては服を脱いで全身を映す鏡の前に立ってみることをお勧めします。この時に無意識にお腹を引っ込めたりしてしまう人も多いので、そうならないように気をつけましょう。
全身の力を抜いた状態でまっすぐ立ってみると、つきすぎた脂肪だけが重力の赴くままに下に垂れてしまいます。このバランスでお腹だけが目立って出てしまっているような人は、内臓脂肪による肥満を疑った方がよいでしょう。
お腹も出ているけれども、全体的に二の腕や太ももやあごなどの肉もついてしまっていて、体型が丸くなってしまっているような人は皮下脂肪のつきすぎと考えてほぼ間違いありません。
暴飲暴食でお酒も飲むという人は、もちろん両方の脂肪を蓄えすぎている可能性があるので、それぞれで適切な対処をする必要があります。
同じ脂肪でも内臓脂肪と皮下脂肪ではその落とし方に、若干の違いがあります。
基本的には規則正しい食事で健康的な毎日を送るということに勝るものはないのですが、それぞれの脂肪燃焼のメカニズムを理解しておくことで、より効率的に脂肪を落とすことができるので、その内容もしっかりと把握しておきましょう。
内臓脂肪を落とそう
まず内臓脂肪は既に述べたようにお酒を飲む人の液体によるカロリーの過剰摂取をやめなければなりません。
内臓脂肪は大変つきやすいものですが、その分落とすことも簡単で、生活習慣を少し変えるだけで比較的早く燃焼させることができます。
日頃のストレスや付き合いなどでどうしてもお酒をやめることはできないという人もいることでしょう。そういう人は炭酸水を活用することをおすすめします。
できれば無味無臭のものであると尚良いです。ビール好きの人によくあることですが、実はビールが美味しいのは最初の一口目だけです。
炭酸の爽快なのどごしが脳に快感を与えて、そのうちアルコールによって感覚が麻痺してくるとそのままダラダラとビールを飲み続けてしまいます。
最初の一杯をアルコールの入っていない炭酸水で誤魔化してみてください。冷たいものであれば充分にビールに近い爽快感を得ることができます。
喉の渇きがある程度潤ったところで、アルコールに切り替えることができれば、お酒によるカロリーの過剰摂取を防ぐことができます。
また、お酒の種類もカロリーの低いものを選びましょう。カロリーが低いもので量を飲めば、お腹と喉が満足して、飲み過ぎを防いでくれますし、アルコール濃度が薄ければ肝臓がきちんと分解してくれますので、内臓脂肪として蓄積される可能性を低くしてくれます。
皮下脂肪を落とそう
一方、皮下脂肪の落とし方は少し厄介です。
皮下脂肪は長い時間をかけて全身についていく脂肪ですので落とすのも時間がかかってしまいます。
皮下脂肪を落とすにはきちんとカロリーの引き算を行っていなければなりません。おすすめの方法としては自分自身の体型と年齢に合わせた1日の消費カロリーというのをしっかりと調べておいて、それを超えない範囲での食生活のコントロールが必要です。
極端な食事制限はリバウンドの恐れがありますので、自分の消費カロリーよりも100〜300キロカロリーほど低い食事を心がけると良いでしょう。
この足りなかったカロリー分が、蓄積された皮下脂肪の燃焼になります。普段の食事で摂取するメニューのカロリー表示をメモしながら、把握することをおすすめします。
まとめ
脂肪を落とすというのはとにかく大変というイメージが拭えません。しかし、内臓脂肪と皮下脂肪、それぞれのメカニズムを理解すれば、そもそもが無理をした食生活によってついてしまったものと知ることができます。
つらいとかきついというイメージを取っ払って、本来あるべき自分の体重に戻ることによって、今よりも遥かに楽な生活ができるようになることを、自分に言い聞かせておく必要があります。
脂肪が招く病気は、他のウィルスや菌によるものとは違い、自己免疫力ではどうにもならない突然死を招くことさえあります。
日々のほんの少しの努力や我慢の積み重ねで、身体は劇的に変わります。外見がスッキリすれば、自分に自信もつきます。前向きに脂肪との付き合い方を考えてみましょう。