目まぐるしく変わるファッション業界のトレンドは一体、誰がどのように決められているのか気になったことはないでしょうか。次々と発表される「これが流行り」という流れについていくのは大変で、一年前に買ったばかりの服でもあっというに古臭くなってしまいます。
実はこのように速いサイクルで繰り返される流行の変化は、色々な人が関わって決められているのです。その仕組みを知ると、ますますおしゃれが楽しくなるかもしれません。
この記事の目次
ファッションのトレンドはどうやって決まる?
まずファッションのトレンドというと何を思い浮かべるでしょうか。服を買いに行く時にお店に並んでいる服でしょうか、それとも雑誌にのっている服でしょうか。どちらもその時の流行を意識した服は並んでいると思いますが、その時のトレンドが決定されるのは実は数年も前なのです。
トレンドカラーが決まるのは2年前
シーズンの約2年前にインターカラーという団体がそのシーズンのトレンドカラーを決めます。インターカラーという団体は15カ国が加盟していて、それぞれの国の代表が集まって流行色を決めるそうです。
加盟国には日本も入っていて、他にパリコレで有名なフランス、ミラノコレクションで有名なイタリア、ニューヨークコレクションで有名なアメリカなども加盟国に入っています。
なぜそんなに前に決まるのか
シーズンの2年も前にカラーを決定するというのには理由があり、この後にパリを中心としたスタイリングオフィスにてシーズン全体のトレンドが決められて、バイヤーやデザイナーはそれを元に次のトレンドに向けて準備を進めていきます。
その後、今度は布地の流行を決定する段階に入ります。ファッションはデザインだけでなく素材も重要です。特に布類を作っている繊維業界では、その時期の流行によって準備するものも違ってくるでしょうから早めに決めておかなくてはいけないのです。
そこまでが終わってやっと、デザイナーがそのシーズンのコレクションの準備ができます。
コレクションは流行のものが多くなる
コレクションは店頭で服の販売が開始されるおよそ半年前に行われます。これがパリコレクション、ミラノコレクション、ニューヨークコレクション、ロンドンコレクションなどといったものです。日本でもトーキョーコレクションが行われています。
この時のコレクションを元に雑誌などで、そのシーズンの流行が発表されて一般の人々の目に入るようになるという流れです。コレクションをする時にはデザインの制限はありませんが、あまりにもその時の流行から外れていると、コストが余計にかかってしまうことがあるそうです。
布地や糸などは大量に使うため、流行のものが多く用意されており、全く違ったテイストのものを注文すると特別注文扱いになってしまうことがあり、コストが余計にかかってしまいます。
財源が豊富にある場合には、好きなデザインで好きなように作れるかもしれませんが、ほとんどのアトリエは予算内に収めるために流行を意識したものを使用するようです。
多くの人が関わってトレンドが決まっている
実際に普通の人々に届くまでに、これだけの人の手を経てから情報が届くため、最初の流行色を決める時期は2年も前から準備する必要があるということになります。
デザイナーが独自の考えやアイデアで服を作っているだけでは、ファッションのトレンドというものが生まれることはなかったかもしれません。
ファッションは芸術であるだけでなく、経済効果の大きな商品のためいくつかの国が協力し、そのシーズンの流行を決定に関わってきています。こうしてたくさんの人が関わって流行が決まっているのです。
なぜファッションにはトレンドがあるのか
では、このような流れでわざわざトレンドを作り出しているのは何故なのでしょうか。ひとつには服を作る側が「新しい服を買ってもらうため」という側面があると思います。
もしも流行というものがなければ、服が破れたりして着られなくなるまで同じ服を着る人が多くなるでしょう。そうなると服を作っている仕事の人は、売り上げが伸びなくなってしまいます。
新しい流行をつくることで、消費者はシーズンごとに新しい服を買うようになり、服を売る人たちの利益がしっかりと出せるようになります。
ファッションだけじゃないトレンド
これは実はとてもたくさんの人と関係のあることで、ファッションのトレンドは服を作っている人達だけに関係しているのではありません。
服を始め、バッグや靴などの小物類にも流行ができますし、コレクションで発表される時のヘアスタイルやメイクにも流行があり、それが変化していくことで人々が髪型を変えたり、メイクを変えるようになります。
髪型を変える時には美容室などの美容業界と関係してきますし、メイク用品を変えることは化粧業界とも関わってきます。
またコレクションの際にどのようなモデルを使って発表するかも注目されています。その時の人気のあるモデルが変わることで、モデルの真似をしたいと思っている消費者の意識も変化していきます。
それはファッションだけにとどまらず、ライフスタイルの流行まで作り出してしまいます。人気モデルの愛用している健康食品やスポーツなどが大流行することもあるので、経済効果はかなりのものになるでしょう。
さらにトレンドを発信する雑誌やテレビなどのメディア業界も流行の変化がなくなれば、その分だけ伝える情報が少なくなってしまいます。流行の変化があるからこそ、常に新しい情報を提供できるのです。
そういった意味で、ファッションのトレンドは世界中の国にとって大きな経済効果を与えるものです。流行が移り変わることで、たくさんの雇用が生まれてたくさんの人々がそのお金で生活しています。
新しいものを楽しむためのトレンド
もうひとつの理由は、世界中の人々がトレンドを求めているからです。
もしも一般の人々の需要がなければ、いくら業界が流行を作り出したとしても、ここまで人々が流行を意識することはないでしょう。人々はめまぐるしく移り変わる流行の変化を大変だと思いながらも楽しんでいるのでしょう。
ファッションは機能的な意味であるだけでなく、楽しみでもあるのです。好きな服を着て自分を表現できるものであり、流行を追うことで自分を満足させることができます。
ファッションのトレンドにはこういった人々の楽しみとしての役割もあり、その楽しみを増幅させるために流行の変化があるといえるでしょう。
こういった理由があるからこそ、毎年の流行が変わっていっても人々は流行を追い続け、飽きることなくその時の流行になっている事柄に夢中になれるのです。
流行がなくなった世の中を考えてみると、やはり少し覇気に欠ける社会のような気がします。活気ある社会をつくるためにも流行の変化が必要なのでしょう。
まとめ
改めて考えてみると、流行は誰か人の手によって作り出されていることがわかります。こういったファッションの方向性を定めることで、世の中の人々の生活を支え、さらにはたくさんの人を楽しませています。
トレンドはなくても生きていけるものですが、あると楽しみが何倍にも増えるものです。人生を彩り豊かにするためにも、こういった流行の変化は社会にとって無くてはならないものといえるかもしれません。
新しい流行が始まった時には、たくさんの人が関わって自分のところまでやってきたことを思い出してみてください。