人間の体内にはウイルスや細菌などから身体を守る免疫細胞が存在します。しかし何らかの異常により免疫機能の働きが弱まると、ウイルスや細菌を抑えることができなくなり、風邪や病気に掛かりやすくなってしまいます。
風邪を引かない丈夫で健康な身体を作るためにも、免疫力を高める必要があります。低下してしまった免疫機能は普段の生活習慣に少し変化を加えるだけで、簡単に改善することができます。
今すぐに実行できることばかりなので、免疫機能の衰えが心配な方はぜひ試してみましょう。
この記事の目次
免疫力がないとどうなるのか
免疫力は20代がピークで、それ以降は徐々に減少していきます。年齢を重ねるほど風邪を引いたり、病気になりやすくなるのは免疫細胞の活動が衰えるからだと言われています。
免疫力が低下すると風邪の原因となるウイルスに感染しやすくなり、症状が長引く傾向にあります。また、細菌を攻撃してやっつけてくれる機能も低下するため、病原菌が身体の中で好き放題に暴れてしまいます。
普段と同じ日常を送っていたはずなのに、ある日突然風邪を引きやすくなったり、インフルエンザに掛かってしまった場合は、免疫機能が低下していることを疑った方が良いでしょう。
アレルギーの発症
アレルギーも引き起こしやすくなります。これまで花粉症とは無縁だった方でも、急に鼻水やくしゃみが止まらなくなったとしたら、免疫機能の低下でアレルギーが発症した可能性があります。
花粉症は一度でも掛かってしまうと、完治するのが困難だと言われており、予防が非常に重要となります。免疫力が落ちていると実感している場合は、外出時にマスクをするなどの対策を施さなければ、アレルギーが発症してしまう恐れもあります。
また、室内には様々なカビ菌やカビの胞子が浮遊しています。カビは病気やアレルギーの原因になりますが、健康な人であれば少し体内に吸い込んだくらいでは何も問題ありません。
しかし免疫機能が低下していると、カビが肺にまで達してしまい、気管支喘息をはじめとするアレルギーを発症したり、病気を引き起こす原因となる可能性があります。
がんの発症
最も怖いのが、がんになる確率が上がるということです。がん細胞は問題のない正常な細胞が突然変異を起こして害のある細胞になったものを指します。
通常であれば正常な細胞が攻撃してくれるのですが、免疫力がないと十分な攻撃ができません。するとがん細胞はどんどん増加してしまいます。
発見が遅れると命に関わる危険性があるため、決して油断できないのが免疫機能の低下なのです。ですから自分の身体を守るためにも、免疫力を高めることは重要です。
抗体を作る免疫機能
人間は一度病気に掛かると、次回から掛かりにくくなる傾向にあります。実はこれも免疫機能の働きによるものです。例えば、おたふく風邪やはしかは一度でも掛かれば、もう掛かることはないと言われています。これは身体に抗体ができたためで、この抗体を作っているのが免疫力なのです。
病気を予防するものとして予防注射がありますが、これはわざと弱いウイルスを身体に注入して抗体を作っています。主にインフルエンザなどに用いられており、予防注射をすることで仮に掛かってしまったとしても、症状は圧倒的に弱くなります。
このように免疫機能の働きは人間が健康的に生きていく上で欠かせないものであり、少しでも乱れてしまうとあっという間に体調を悪化させてしまうのです。
特に若い頃は健康だった方ほど免疫に関心がないケースが多く、風邪や病気に掛かりやすくなります。30代を超えたら免疫機能を高めることを意識した生活を心がける必要があるでしょう。
免疫力を高める方法
免疫力を高める最も簡単で効率的な方法は体温を上げることです。免疫力と体温の関係と、体温の上げ方を紹介します。
体温と免疫力
本来、免疫細胞である白血球は血液中に存在し、血の流れにのって身体中を巡ります。そして異物を発見し、攻撃を行うことで身体を守ってくれているわけです。
しかし体温が下がると血管が収縮してしまい、血行が悪化します。すると白血球の攻撃力が弱まり、ウイルスや細菌の撃退ができずに風邪や病気を引き起こしてしまうのです。
免疫機能が正常を保てる最適な体温が36.5℃と言われています。この体温が1℃低下すると免疫力は30%ほど低下し、逆に1℃上昇すれば一時的に5~6倍も向上するとされており、体温がいかに重要な役割を担っているかがわかります。
つまり、体温を下げない生活を心がけることで、免疫機能の低下を防ぐことができます。
食生活の改善
今すぐにでも改善できる生活習慣としては、食生活が挙げられます。
体温を上げる効果のある食材として有名なのが、野菜類ではショウガやニンニク、長ネギや唐辛子、玉ねぎなどです。肉類では羊肉や鶏肉、他に卵や味噌なども体温上昇に有効です。
これらの食材を普段の食生活の中で、できるだけ摂取するように心がけましょう。ショウガはスープなどに溶かして飲むと、手足も温まるので寒い季節には最適です。
お風呂の入り方
お風呂の入り方も気をつける必要があります。シャワーだけで済ます方は免疫力が低下しやすいため、できれば湯船に浸かるようにしましょう。10分でも浸かることができれば、体温は湯上り時に1℃上昇します。
さらに有効な方法は、38℃ほどのぬるま湯に胃の辺りまで浸かって半身浴をすることです。20~30分くらい時間を掛けて温まることができれば効果的です。
運動をする
また、運動不足により筋肉の量が衰えてしまうと、体の熱が生産されにくい体質になるため、必然的に体温も下がります。だからといって急激な運動も悪いため、20~30分ほどウォーキングなど軽めの有酸素運動を行うことが望まれます。
大事なのは毎日続けることです。数日置きに1~2時間の運動をするよりも、毎日継続して20~30分の適度な運動をした方が筋肉量の向上に効果的です。
最初はウォーキングから始め、慣れてきたらジョギングやマラソンで汗を流しましょう。必ず無理のない範囲で行ってください。息切れをするほどの激しい有酸素運動は免疫力を高めるどころか、かえって低下させてしまう恐れもあるので注意しましょう。
一度定着した生活習慣を急に変えることは難しいですが、毎日少しずつ変化を加えることで徐々に身体に浸透してきます。やがてそれが日課となり、体温を下げない生活が行えるようになるはずです。
平均体温が上がれば免疫力も高まるため、風邪や病気知らずの健康的な生活が送れるようになるでしょう。ただし一時的に体温が上がったからといって、常に免疫力が高い状態を保つわけではありません。常時体温を下げない生活を続けることによって、初めて免疫機能も安定すると言えるでしょう。
まとめ
免疫力が低下することでウイルスや細菌の侵入を許し、風邪や病気を発症しやすくなります。健康的な身体を保つためにも、免疫機能を高める必要があります。
大事なのは生活習慣を見直し、体温を上げることです。体温が上昇すれば血液中の白血球の働きが活発になり、免疫機能も向上するからです。
ショウガやニンニクといった食材を摂取したり、入浴時はなるべく湯船に浸かることを意識したり、また適度な有酸素運動を取り入れることで体温が上昇し、免疫機能を向上させることができます。