現在販売されている大半の食品には、カロリー表示されているのがよく見かけられます。カロリーとはエネルギー量のことで、人の身体を維持するのに役立つものですが、使われる時のカロリーを消費カロリーといいます。
カロリーは身体を動かすときだけ消費されるものだというイメージが強いかもしれませんが、実は脳もカロリーを消費しています。
筋肉とは違うこの臓器が摂取したカロリーをどのように消費しているのか、また、その消費カロリーはどのくらいなのでしょうか。
この記事の目次
脳の消費カロリーはどのくらいか
脳は考えたり記憶する、神経に関係する機能を持ちます。他の臓器に対して指令を出す役割を担っていますので、脳が機能低下を起こすと身体が思うように動かなくなったり、最悪の場合には死亡することもあります。
脳が消費するエネルギー
人の身体が維持されるのは基本的なエネルギー源である、炭水化物と脂質、タンパク質が必要です。この3種類のエネルギー源のうち、どれかを使って臓器の機能維持を保っています。
しかし、脳は脂質とタンパク質をエネルギーに使いません。炭水化物である糖分くらいしか受け付けない性質を持っています。
実際に脳が糖分を使ってどのくらいのエネルギーを使うかについてですが、身体の消費カロリーに対して20%程度が使われています。
ということは、1日で消費する必要なエネルギーが1800キロカロリーであったとすれば、脳で使われる必要なエネルギーは360キロカロリー程になるという計算です。
360キロカロリーは相当な量で、普通の(ダイエットなどではない)コカ・コーラの800ml分くらいのカロリーを持っており、脳がどれほど大量のカロリーを消費しているのかが良くわかります。
脳はなぜカロリーを消費する?
一体どうしてここまでのエネルギーが必要なのかというと、脳は活動中だけでなく、就寝中にもたくさんのエネルギーを使い続けています。とても高度な機能を持つ、人にとっては大切な臓器ですが、その働きを維持するには大量のエネルギーが必要不可欠だと言えるでしょう。
しかし、1日中均一の消費カロリーを維持している訳でなく、特に多く消費する時間帯が存在します。朝起きてから2時間が経過した後、そして就寝する2時間前が多くなっています。
食事をすることで摂取した糖分は、脳で蓄えることができません。消費しているうちにエネルギーが足りなくなったなら、別の臓器の筋肉や肝臓に存在するグリコーゲンを使用します。
グリコーゲンはブドウ糖に変化させることが可能で、このブドウ糖をエネルギー源として消費する仕組みです。しかし、筋肉や肝臓が無限にグリコーゲンを蓄えられる訳ではありませんので、不足した分は食事から摂取しなければなりません。
頭を使うと徐々に疲れてきますが、この時に甘いものが欲しくなるのは脳がエネルギー不足に陥っているのかもしれません。
甘いものを食べすぎるのは良くないといわれますが、必要最低限の量は摂取しないと脳の健康が維持できない恐れがあり、きちんと糖分を摂取することがとても大切だと言えるでしょう。
よく考えることで消費カロリーは増えるのか
たくさんのエネルギーを使っている脳ですから、その機能をフル回転させれば何となく消費カロリーが増えて痩せられそうな気がしてきます。
痩せるには運動をしたり食事を減らさなければならないとされていますが、これらは続けるのが大変です。毎日良く頭を使って考えていれば自然に痩せることができるのであれば比較的簡単かもしれません。
こんなに簡単に痩せられるなら、もう辛い運動をしなくても良いですし、甘いものをたくさん食べても太る心配をしなくて済むでしょう。
脳は常に最大限に消費している
しかし、そう簡単にはいかないようです。残念ながら、頭をフル回転させたとしても、脳の消費カロリーを増やして痩せるのはとても難しい状態です。
脳は考えている時だけでなく、身体の維持にも常に働いている臓器で、この時点で最大限に大量のエネルギーを消費しています。ですので、脳をトレーニングして考える時間を増やしたとしても、消費カロリーが増えるようなことはありません。
また、忘れてはならないのが、脳は糖分をエネルギーとして使っている事実です。食事をすることで摂取カロリーが増えますが、摂取カロリーは糖分だけで構成されている訳ではありません。
食事には他の大切な栄養素である、脂質やタンパク質もたくさん詰まっています。脳が大量のエネルギーを消費しても、使われるのは糖分だけですから、脂質やタンパク質は余ってしまいます。
これらの栄養素が殆ど使われなければ、体内で脂肪となって蓄積されますので、太る要因に繋がる点に注意しましょう。脂質に比べるとタンパク質は太りにくい栄養素ではあるものの、過剰摂取すると脂肪に変化するため、用心してください。
摂取量と消費量を考える
脂質やタンパク質といったエネルギー源を消費するには、別の臓器が頑張るしかありません。身体を動かして、代謝を高めるようにすれば、痩せてくるようになるでしょう。
しかし、代謝による消費カロリーは人それぞれ上限がありますので、摂取カロリーが多すぎるなら、食事量を控える努力が必要になってきます。
脳が使う糖分に関しても同様で、摂取した糖分が余ってしまえば、結果的に脂肪となって蓄積されてしまうことを忘れないようにしましょう。
勉強をしたり、考え事をたくさんしているからといって自然に痩せるのではなく、一般的に推奨されている運動や食事量の調整をしなければ痩せられない事実がわかり、少し残念な人もいるかもしれません。
ただ、直接的な影響はありませんが、脳を使ってよく考えることが痩せやすい身体を作るのに影響を与えることがあります。集中して考え事をしていると、摂食中枢の働きが抑えられます。
つまり、食事をしたいという欲求が減ることになりますので、結果的に摂取カロリーが抑えられ、太りにくい状態にするという仕組みです。この方法であれば間接的な痩せる効果を得られるかもしれません。
糖分が不足するとどうなるのか
糖分は体内で消化吸収の効率が良いため、脂肪に置き換わりやすい栄養素です。炭水化物抜きダイエットが流行っていますが、あまり過激に炭水化物抜きダイエットを行うと、脳に必要なエネルギーが確保できなくなります。
そうなると、疲れやすかったり、集中力が続かないといった問題が起こりやすくなります。さらに、食事で十分に補えない糖分を筋肉や肝臓などに存在するグリコーゲンを使用してブドウ糖に変化させようと必死になりますので、筋肉が痩せてしまう心配もでてきます。
筋肉が痩せてしまうと代謝が落ちてしまうため、結果的に全体の消費カロリーが減って太りやすい体質に変化します。
身体を動かしていないから単純に糖分を減らすという発想をせず、脳や筋肉のためにも必要な糖分を食事からきちんと摂取するということが大切といえるでしょう。
まとめ
筋肉のように腕や脚の動きを通じて機能しているわかりやすさがない脳ですが、考え事をしたり、文字を読む、ゲームをしている時の他、何もしていない状態でも臓器に指令を出しながら生命維持のために働いている臓器とあり、その消費カロリーは全体の多くを占めています。
全体の20%もの大量のカロリーを使っていますが、エネルギー源は糖分しか受け付けません。食事の中に含まれる糖分からエネルギーを補給する他、筋肉や肝臓のグリコーゲンをブドウ糖に変化させて使用する高度な仕組みを持っています。
普段よりもよく考えたからといって脳の消費カロリーが増えるようなことはないため、直接的に痩せるのは難しい状態です。痩せるには食事に含まれる脂肪やタンパク質についても理解して、摂取カロリーを調整することが重要になってきます。