近年、日本の沿岸でも愛知県や関東付近において、鮫の出没が相次いで報道されています。
性格が凶暴なイメージがありますが、大人しい種類も存在しますし、体長も1mという小さなものから4m以上の大きなものまでさまざまな目撃情報があります。
日本の沿岸における今までの事故や被害は、少ないながらも報告されていて、実際のその件数や被害状況はどのようなものなのか気になるところです。
この記事の目次
鮫による事故の例
鮫に襲われることは滅多にない
日本沿岸での鮫による事故は古い時代から報告があり、その実際の頻度は年に一回あるかどうか、もしくは数年に一度程度のものです。
日本での鮫に襲われたという事故は非常に少なく、宝くじの高額賞金に当選する確率の約10分の1という低い確率だといわれています。
その被害の多くは、サーファー、ダイバー、潜水漁などの最中に発生しています。遊泳中や釣りの場面での事故もありますが、一般人が浅瀬で鮫に襲われるという可能性はとても低く、楽しい海水浴を必要以上に怖がることはありません。
鮫に遭遇する状況
鮫による事故の被害状況は、腕や足の欠損、襲撃後の行方不明、更には鮫の胃袋から遺体が発見されたりという例さえあります。
素潜りダイバーや潜水漁は海が中潮の場合が多く、水深 数十メートルで作業をしている最中に、近づいてきた小型の鮫に噛みつかれ、体の部位を食いちぎられるという事故が多いようです。
タコやミル貝漁、海洋生物の生育調査などで深く潜った時に、鮫と遭遇することもあるということです。
実際の鮫による事故
1995年愛知県沖での事故では、海の状態は中潮、水深25mのところでミル貝漁をしていた漁師がホホジロザメ(体長6m)に襲われ、引き上げた時には鮫が右肩から腹部に食いついたままの状態でした。
右腕はすでに食いちぎられていて即死状態だったということです。1997年沖縄県宮古島沖の被害では、タコ漁中の漁師が両足を鮫に食いちぎられて失血死というものありました。
一般人の鮫被害では、1982年の天草遊泳中 女子中学生 鮫襲撃事件では、腹部以下欠損という痛ましい被害が報告されたものもありました。
家族でヨットを楽しんでいる時に、救命胴衣を身につけロープでヨットの船尾に結び、引っ張って遊泳を楽しんでいた子ども3人のうち、長女(13)が突然海中に引っ張られました。
すぐに引き上げた時には腹部以下を食いちぎられて即死状態であったようです。歯型からシュモクザメによる襲撃と判断され、当日の海の状態は中潮でした。
また、2000年には沖縄県宮古島ビーチにて、水深3mの海上でボードに座っているところをイタチザメ(体長2m)に襲われた男性が死亡しています。
2004年には和歌山県沖で遊漁船に飛び込んできたアオザメ(体長3.3m、体重350kg)の尾びれが釣り客に当たり、胸の骨を骨折するという重傷を負った例もあります。
最近のものでは、2014年6月には愛知県豊橋市海岸の、水深1mという浅瀬で波を待っていたサーファー男性が突然鮫に襲われました。場所は正確には海岸から30mのところで、被害は左上腕を噛まれて重傷を負いました。
鮫被害の対策
潜ったり、深いところを遊泳中に鮫が偶然のように通っただけとも言える頻度ではありますが、鮫による事故を未然に防ぐ対策として、自分でもできるものはあります。
鮫の嗅覚は大変優れていますので、ほんの少々の血の臭いも何km先から嗅ぎ付けて近づいてくるといわれています。怪我をしていたり、生理中などには海に入るのを避けましょう。
また、水中で怪我をした場合には海からすぐに出るようにしましょう。海に入る前には潮の状態も確認し、中潮、夕方や夜間、夜明けという時間帯も避けるようにしましょう。
鮫が確認されたことがある海
鮫が生息しているのは沖合が基本なのですが、温かい時期となる5~9月にはエサを求めて陸地近くまで来ることも多いといわれています。
日本においては太平洋側だけではなく鳥取県など日本海側でも目にされていますので、日本国内のどこの地域の沿岸でも出現する可能性はあるといえるでしょう。
中でも以前から鮫の出現率が高いのは、一年を通して温かい沖縄県、そして愛知県です。他にも宮崎県、長崎県、淡路島などの温かい海においても目撃情報が多いです。
これらは沖合のことがほとんどで、愛知県では昭和13~15年にかけて多くの被害が発生しましたが、最近ではそれほど多くなっていません。
鮫の泳ぐ海はどこなのか
日本の海水浴場は安全のために遠浅というところが多く選ばれていますので、鮫がそこへ侵入してくるということは以前はほとんどありませんでしたが、ここ数年で海水浴場での鮫の目撃情報がよく聞かれるようになってきています。
その例が、2015年の茨城県、千葉県、神奈川県、静岡県などの関東地方における海水浴場で鮫が出現したというものです。
これは、地球温暖化による影響だともいわれていて、もともと熱帯地域の海に生息する生物である鮫が、強くなった暖流に乗り関東地方にまで自然とやってきているのではないか、ということです。
もしこのまま温暖化が進むと鮫の生息地域がさらに広がって、海水浴場も減って行ってしまうことが懸念されています。
実際の鮫の目撃例
2015年8月の茨城県の例では、鉾田市沖合50mのところに鮫16匹の群れが確認されたため、近隣の市町村では海水浴場を遊泳禁止措置としました。その数は7ヶ所にものぼりました。
鮫の種類は小さいエサを好むメジロザメであると判断されましたが、以前に人間が襲われた事故もあったため、遊泳禁止のすばやい措置が取られることとなりました。
同じく2015年8月の静岡県では、焼津市沖合1.5~2.0kmのところで2匹のシュモクザメが目撃され、近隣の海水浴場が遊泳禁止となりました。
大人しい性格と言われるハンマーヘッドのシュモクザメですが、大きいものでも6mにもなる大型鮫で、1982年の熊本県天草遊泳中女子中学生の事故では実際に人間を襲撃しており、群れで行動しますので危険です。
同じ年には他にも千葉県銚子市の海水浴場から沖合200mというとても近いところで鮫の背びれが目撃され遊泳禁止に、鹿児島県でも海水浴場から沖合200mでシュモクザメ(体長1.5m)が出現しました。
つい最近では2017年7月、茨城県日立市の久慈浜海水浴場の沖合で温厚な性格だと言われるドチザメ(体長1.5m)30匹が泳いでいる目撃情報が流れ、念のためにその日は遊泳禁止となりました。
まとめ
日本の近海沖合での鮫出現率はまだまだ低いです。地球温暖化に伴う鮫の出現場所の広がりによって、海水浴場側でもさまざま対策をし始めています。
鮫に遭遇しないように、鮫除けネットを設置したり、ライフセービングなどの監視員を常駐させたり人数を増やしたりなどの対策をしている海水浴場を選ぶと、より安心できるでしょう。
また、鮫を遠くの方であっても見かけた時にはすぐに陸へと逃げるという取るべき行動を把握しておき、すぐに行動できるようにしておくことが大切です。