普段食べている食品が本当に体に害がないものだと言いきれる人がどれだけいるでしょうか。食事はただ単に時間が経てば減ってくるお腹を満たすものではありません。
人が食べたもののうち、栄養分は血肉やエネルギーになって適切に代謝され、余分なものは残らず排泄されるべきです。しかし食品は必ずしも、天然由来成分だけで成り立っていると限らず、人工的あるいは工業的な生産物が加えられていることが多いです。食品添加物とは、このような物質のことを指します。
この記事の目次
食品添加物の実態
なぜそうしたものが加えられているのでしょうか。それは、食品の保存性を高めるため、消費者の口に合いやすい味や香りにするため、生産性を上げて商品価格を低く抑えるため、などの理由があります。
食品添加物は健康上大きな問題を含んでいることが多いのですが、あまりにも専門性が高く、消費者に認知されているとは限りません。
商品としての多くの食品には原料の表示が義務づけられていて、食品添加物といえども例外ではありません。しかもかなりの知識がないと、その表示も単なる文字の羅列以上の意味を持たず、その危険性を認知することができません。
合成着色料の中にはすでに使用禁止とされているものも多く存在しますが、それ以外でも歴史が浅く、毒性・蓄積性・環境ホルモン作用について、特に単体では研究されていたとしても複合性はどうか、など問題点が残されています。
具体的な食品添加物
それでは食品を購入する際に、注意すべき食品添加物にはどのようなものがあるのでしょうか。それは着色料・保存料・香料・甘味料・旨味成分・製造用剤などに分類されます。
具体的な食品添加物質は、発色剤としての「亜硝酸塩」、着色料としての「タール色素」または「合成着色料」、保存料としての「安息香酸Na」「ソルビン酸」「ソルビン酸K」、カビや腐敗を防止する「防カビ剤」「OPP」「OPP-Na」「TBZ(チアベンダゾール)」、甘味料としての「アスパルテーム」「アセスルファムK」、旨味成分としての「グルタミン酸ナトリウム」です。
これらの食品添加物は、重大な疾病の原因になる、成長不順の原因になる、免疫障害をもたらす、性格形成に悪影響を与える、などの理由で注意が喚起されています。
害の認識は国によって違う
WHOでは専門委員会であるJECFAを設立して、健康への悪影響を与えない量を食品添加物ごとに算出するなどのリスク評価が行われています。
日本では食品衛生法によって規制・運用されています。アメリカ合衆国では連邦純正食品・薬品法によって、EUではEECによって管理され、E番号によってわかりやすく整理・体系化されています。
ただし国際的な統一がなされている訳ではなく、同一物質でも国や地域によって認可・不認可の違いがあります。
よく聞く、着色料・保存料・甘味料とは
食品添加物について詳しくない人でも「保存料」「甘味料」は聞いたことがあると思いますが、これらにはどのような特徴があるのでしょうか。
具体的な例を挙げてみます。
着色料
「タール色素」あるいは「合成着色料」は、食品類の着色に用いられています。
飴・ゼリー・和菓子・菓子パン・アイス類・かき氷・飲料類・洋酒・清涼飲料水・各種漬け物・佃煮・紅生姜・ソーセージ・ウニ・タラコ・蒲鉾・タコ・ハム・ジャム・医薬品に使用されて、不妊症・胎児への悪影響・発ガン性・催奇性などが指摘されています。またいわゆるキレやすいなどの青少年の性格形成に影響しているという可能性も示唆されています。
保存料
保存料として用いられる「安息香酸Na」は、カビや細菌の発生を抑制する働きがあります。
清涼飲料水・栄養ドリンク・エナジードリンク・清涼飲料・水炭酸飲料・シロップ・果実ペースト・果汁・疑似醤油や疑似酢・キャビア・マーガリンなどに用いられ、発ガン性・神経障害・変異原性・めまい・食欲不振などのリスクが挙げられます。
「ソルビン酸」や「ソルビン酸K」は、前者と同様にカビや腐敗を抑制します。
クリーム類・コンビニ弁当各種・ソーセージ・ハム・チーズ・かまぼこ・ちくわ・はんぺん・イカの燻製・キャビア・さきいか・漬け物・佃煮・あんこ類・煮豆・清涼飲料水・ワイン・ジャム・シロップ などに用いられ、発ガン・免疫障害・成長不順・腎臓肥大などが考えられ、膠原病の一因とも指摘されています。
「防カビ剤」「OPP・OPP-Na」「TBZ(チアベンダゾール)」は、輸入柑橘類をはじめとする果物に用いられ、発ガン性・胎児の先天性障害・遺伝子損傷性・変異原性・染色体異常を来すと考えられており、原産国では使用禁止措置がとられているものさえあります。
甘味料
甘味料の「アスパルテーム」は、ダイエットや健康志向の食品や飲料・ノンカロリー食品・ノンアルコールドリンク・ガム・飴・アイスなどに用いられ、発ガン性・内臓異常・失明や視力低下・精子減少・パーキンソン病・うつ病などを発症する可能性が指摘されています。
「アセスルファムK」も甘味料として用いられる食品は同様、発ガン性・肝疾患・肝臓や腎臓への悪影響・うつ症状・記憶力低下・だるさ・頭痛をもたらすと考えられています。
製造用剤とは
食品添加物に関して着色料・保存料・甘味料を中心に記述してきましたが、加工食品に用いられる「製造用剤」というものをご存知でしょうか。
加工食品は多種多様であり、製法も様々です。その場合食品添加物の機能や用途が様々に異なってくるために、統一的な用途として分類することが困難です。そのためこうした食品添加物は、製造用剤という分類が便宜的になされています。こちらも幾つかご紹介します。
「かんすい」は、アルカリ性分がグルテンに作用して食感を整えます。用途としては、中華麺・即席ラーメン・ワンタンの皮などが挙げられます。
「結着剤」は、組成の改良やたんぱく質変成の防止、解凍時の水分漏出の防止に用いられます。ハム・ソーセージ・麺類・魚肉練り製品・漬物などに用いられます。
「消泡材」は、泡を消して均質な商品を作るために揚げ油や豆腐の製造時に利用されます。またジャムの製造工程で発生する泡、酒精飲料の発酵時の泡を消すのにも使われます。シリコン樹脂が用いられます。
「抽出用材」は、原料から油脂などを効率よく取り出すのに用いられます。ヘキサンやアセトンが利用されますが、最終食品の完成までには除去されなければならないという規定があります。ヘキサンは食用油の、アセトンは油脂とガラナ豆の抽出に限り使用が認可されています。
「豆腐用凝固剤」は、豆乳を固めて豆腐にする時に用いられます。にがりがそうです。塩化カルシウム・硝酸カルシウム・グルコノデルタラクトンのいずれかを単品または複合で用います。豆腐凝固剤や単に凝固剤と表示されるか、物質名が記されます。
「日持ち向上材」は、総菜など短期保存の加工食品に用いられます。微生物の侵入や汚染を抑制し、腐敗や変質を防止します。今日では減塩や低糖化の傾向が進んでいますので、保存性の低下を防ぐためにこうした製造用剤が用いられます。有機酸・アミノ酸・酵素などが利用されます。
「プロピレングリコール」は、着色や香料添加のための溶剤として、あるいは細菌の活発化を抑えるために使用されます。保存性・湿潤性が高いので、生麺・シュウマイや春巻きの皮ほかに用いられますが、食品ごとに何%まで、という使用上限があります。
「離型材」は、加工食品が製造される時に機械や焼き型からスムーズに取り出すことができるよう、型離れを良くする目的で使用されます。植物油を用いるほか、流動パラフィンのように耐熱性や坑酸化性に優れたものが利用されます。パン・焼き菓子・飴・ドライフルーツなどの製造に用いられます。
「濾過助材」は、不純物を吸着して濾過を効率よく行なうために用いる不溶性の微粒子です。不溶性鉱物性物質が用いられますので、使用後は除去されるように管理されます。
まとめ
知っているものはいくつあったでしょうか。
気づかないうちに食品添加物が使用されている食べ物を食べていたという人も多いと思います。ただ、今回例に挙げたものは全てが体に悪いものというわけではありません。
過剰に摂取することは危険を伴いますが、摂り過ぎなければ問題がない場合も多いです。
しかし、体にどのような影響があるのかを知らなければ、気づかないうちに健康を害していたということにもなりかねません。
体に害がある可能性を知ることで、バランスのよい食事や、健康に良い食事が意識できるようになります。もし、この記事を読んで気になったという方は、普段食べている食品の成分を一度見直してみると良いかもしれません。