人間にとってバランスの良い食事を摂ることが大切であることは言うまでもありませんが、時には胃腸の調子が悪くなることがあります。
胃腸炎や風邪をひいて医者に掛かかると、必ずと言っていいほど「消化の良いものを食べてください」と言われますよね。日本人であればお粥などが頭に浮かぶと思いますが、消化の良い食べ物にはどんなものがあるのでしょう?
「胃に優しい」をテーマに、消化の良い食べ物とメニューなどを紹介します。
この記事の目次
消化に良い食べ物と消化に悪い食べ物
消化に良い食べ物
消化に良い食べ物には「胃に長く留まらない物」という条件があります。言い換えれば「胃を休ませる」ことが大切なのです。かと言って胃を空っぽにしておく時間が長すぎても、胃が荒れる原因となり、こまめな栄養補給は必要不可欠。胃腸の調子が悪い時は「栄養があり消化が早い食べ物」を選ぶことが重要です。
胃の中に食べ物が滞在する時間は、1回の食事で摂取する一般的な量で考えると「水やジュース・果物」が30分程度と最も短く、続いて「野菜」が30分~2時間程度、「炭水化物」が2時間~4時間程度だそうです。そして「タンパク質(肉や魚)」の滞在時間は4~6時間と長く「脂肪」は種類によって8時間以上滞在することもあります。
分類別に消化の良い食べ物を見ていきましょう。
<穀類>
お粥・(軟らかく煮た)うどん・(耳を取った)トースト など
<野菜類・芋類等>
キャベツ・大根・ほうれん草・カブ・ハクサイ・かぼちゃ・にんじん・じゃがいも・里芋 など
<果物類>
りんご・バナナ・桃・ぶどう・メロン など
<タンパク質>
卵・豆腐・ササミ(脂身の少ない鶏肉)・ヒレ肉・(脂身の少ない)白身魚・はんぺん など
<菓子類>
ゼリー・プリン・ヨーグルト・プリン・くずもち・カステラ・赤ちゃん用のお菓子 など
<胃に優しい飲料>
豆乳・乳酸飲料・スポーツドリンク・経口補水液 など
消化に悪い食べ物
反対に胃に負担がかかる消化の悪い食べ物の条件は「胃に長く留まる物」です。野菜や果物なら全般的に消化が良さそうですが、不溶性食物繊維(水に溶けにくい食物繊維)が多いものは消化が悪いので注意が必要です。
分類別に消化の悪い食べ物を見ていきましょう。
<穀類>
玄米・中華麺・シリアル など
<野菜類・芋類等>
ゴボウ・もやし・レンコン・とうもろこし・さつまいも・タケノコ・オクラ・キノコ類・わかめや海苔などの海藻類・大豆(納豆も含まれる) など
<果物類>
スイカ・梨・みかん・グレープフルーツ・パイナップル・キウイフルーツ・レモン など
<タンパク質>
ハム・ソーセージ・ベーコン・脂身の多い肉・脂身の多い魚(ウナギもダメ) など
<菓子類>
ケーキ・ドーナツ・チョコレート・生クリーム・ポテトチップ など
<胃に優しくない飲料>
コーヒー・紅茶・炭酸飲料・酒 など
消化に良いメニューと簡単レシピ
消化に良いメニューのポイント
基本となるのは「消化に良い食材」を使うことです。そして調理法や食べ方にもいくつかポイントがあるので、しっかり覚えておきましょう。
①温かいものであること
冷たいものは当然NGです。冷えた飲み物やヨーグルトなどを摂取する時は、常温に戻すと良いでしょう。また、熱過ぎるものも胃に負担がかかるので、覚ましてから摂取するようにしましょう。
②軟らかいものであること
消化の良いメニューは煮込み料理が多く、軟らかくなるまで煮込むことがポイントです。例えばうどんであればコシが無くなるまで煮込むと良いでしょう。
③材料は細かくすること
具財を細かく切ることで、胃が消化するのを早めます。野菜スープなどを作るときは、細かく切ってから調理しましょう。
④味付けを薄めにし、香辛料は少なくすること
付けが濃いものや、唐辛子・ペッパーなどの香辛料は胃に負担をかけます。お粥には梅干を添えたいところですが、我慢した方が良いでしょう。
⑤油を使わないこと
特に動物性の油は消化が悪いので、胃が弱っているときは特に避けたいものです。油の摂り過ぎは下痢になる原因にもなります。
⑥よく噛み、小分けにして食べること
よく噛んで食べると唾液と食べ物がよく混ざり、消化酵素であるアミラーゼが活発に働き消化を助けます。食べる量も一度にたくさん食べず、病中病後などは少量を1日に5~6回に分けて食べることが理想です。
手軽で簡単に作れる消化に良い料理
味噌風味の卵粥
(材料2人分)
ご飯を軽めに2膳、卵2個、水500CC、味噌大さじ2(適量)、和風だしの素(ほんだしなど)少々
(作り方)
①ご飯と水を鍋に入れ、柔らかくなるまで弱火で煮る。②和風だしと味噌を入れ、味噌を溶かしながら混ぜる。③溶いた卵を回しいれる。
豆腐の大根おろし煮
(材料2人分)
絹ごし豆腐1丁、大根200g、水200CC、醤油大さじ半分、めんつゆ大さじ半分、みりん大さじ1、和風だしの素(ほんだしなど)少々
(作り方)
①豆腐をひと口大に切って水気を切る。②大根を摩り下ろして水気を切る。③鍋に水と調味料を入れ煮立たせ、豆腐を入れる。③豆腐が煮えたら大根おろしを加え、弱火で少し煮る。
野菜スープ
(材料2人分)
キャベツ1/8個、玉ねぎ1/2個、大根200g、じゃがいも中1個、水500CC、和風だしの素(ほんだしなど)少々、鶏がらスープの素少々、塩少々
(作り方)
①野菜をすべて細かく切る(キャベツはひと口大でも可)。②野菜と水と塩以外の調味料を鍋に入れ、強火で野菜が柔らかくなるまで煮込む。③火を弱め、塩で味を整える。
鶏ひき肉と卵の野菜スープ
(材料2人分)
鶏ひき肉50g、卵1個、ブロッコリー1/2個、玉ねぎ1/2個、にんじん1/4本、水600CC、和風だしの素(ほんだしなど)少々、コンソメスープの素少々、塩少々、醤油小さじ1/2
(作り方)
①ブロッコリーを小房に分け、玉ねぎとにんじんは細かく切る。②水と塩以外の調味料を鍋に入れ煮立たせ、鶏ひき肉をさっと茹でる。③鶏ひき肉から出たアクを取り、玉ねぎとにんじんを入れ、野菜が軟らかくなるまで煮込む。④ブロッコリーを入れ、煮えるまで中火で煮込む。⑤溶いた卵を回しいれる。⑥塩と醤油で味を整える。
コンビニでも賄える胃に優しい食事
1人暮らしをしている人や、料理が嫌いな人は手軽に食事を済ませたいものですよね。そんな時はコンビニが便利です。コンビニに売っている商品でも、選び方によっては胃に優しい食事ができます。
コンビニで買える胃に優しい食べ物には次のようなものがあります。
食パン(耳はなるべく食べない)・雑炊・カステラ・蒸しパン・冷凍うどん(柔らかく調理する)・温泉卵・茶碗蒸し・おでんの大根やはんぺん・ゼリー飲料・ヨーグルト・プリン・スポーツドリンク・野菜ジュース など
コンビニでよく見かける「ウイダーインゼリー」(森永製菓)は、栄養素もたっぷり含まれているゼリー飲料で、長い間売れ続けている人気商品です。食事ができないほど体調が悪い時は、ゼリー飲料やスポーツドリンクで栄養を補うと良いでしょう。
まとめ
胃が疲れていると感じても、つい普段通りの食事をしてしまいがちですが、こまめな栄養補給と胃を休ませることが大切です。消化に良い食べ物は豊富にあり、病中病後や「胃が疲れてきたかな」と感じたら、消化に良い食材を使った料理を作ってみると良いでしょう。
また、風邪を引いてしまって体調が弱っているのであれば、風邪のときに効く食べ物についても紹介していますので、ぜひそちらも併せて読んでみてください。