日本は四季のある国であり、季節によって温度が大きく変化しますが、同時に湿度も季節によって大きく変化をします。暑い時期は高温多湿になるのに比べて、寒い季節は空気が乾きやすいです。
空気が乾燥するとインフルエンザや風邪が広がりやすくなるため、室内の湿度と温度を調整することが大切だとよく言われます。では、季節によって湿度が変化するのはどうしてでしょうか。
これには理由がありますので、なぜ冬に空気が乾燥するのか、その対策についてもご紹介します。
この記事の目次
冬の空気が乾燥する理由になる
冬に空気が乾燥する理由は主に3つあります。
気温が低いという理由
これだけだと意味がわからないかもしれませんが、空気には含むことのできる水の量というものが決まっています。
空気は普段、誰もが吸ったり吐いたりしているものですが、その空気中には目には見えていない水分が含まれています。意識していないと空気中の水分なんて気にすることはないかもしれませんが、冬の窓に結露がつくのは空気中の水分が窓についたものです。
結露は外の空気と室内の気温の差が大きいほどできやすいといわれます。これも空気中に含まれる水分の量が温度によって変化していることが原因なのです。
暖かい空気中には多くの水分を含むことができます。水分が多く含まれている状態のまま暖かい空気から冷たい空気に変わると、冷たい空気中で保持できる水分量を越えてしまっている場合があります。
そのような時には空気中にいられなくなった水分が窓について結露となります。温度が高いほどたくさんの水分を含むことができるので、温度差が大きいほど結露の量も増えるということになります。
つまり気温が低い季節は空気中に蓄えられる水分量が少ないために乾燥しているということです。
気圧配置が乾燥する理由になる
寒い季節はシベリア気団という高気圧がやってきます。シベリア気団は北からやってきて、日本に向かって風を吹かせます。この時に日本海の水分を含んでから日本の上空に到着し、水分を多く含んだ雲が日本海側の街にたくさんの雪を降らせます。
そのため日本海側は太平洋側に比べるとそこまで空気の乾燥は強くなく、湿度も太平洋側よりはやや高くなります。その風はそのまま日本に吹きますが、いくつかの山脈などを越えているうちに空気中の水分はなくなり、乾いた風を吹かせるようになります。
その結果、太平洋側は特に乾いた空気になってしまうという訳です。
暖房器具が乾燥の理由になる
それは寒い季節に使用する暖房器具が湿度を奪うということです。日本の冬は暖かい地方でも暖房を使っていないところは少ないと思われるほど冷えます。
ほとんどの家庭で暖房器具を使用しているでしょう。暖房器具の中でも特にエアコンによる温風は乾燥を加速させます。
暖房器具には空気を乾燥させにくいものもありますが、多くは使っているうちに湿度が低くなってきます。昔からストーブの上にやかんをのせて湯気が出ている風景がよく見られますが、あれには意味があって不足している湿度をやかんから出る蒸気で補っていたのです。
昔からそうやって寒い季節の乾燥に対する対策が行われていたということです。冬に流行することが多いインフルエンザや風邪は空気が乾くことによって流行を加速させてしまいます。
人の体の健康にとっても、空気中の水分を適切な値に保つということは非常に重要なので、乾燥した空気には何らかの対策をして湿度を適切な値まで近づけたほうが良いでしょう。
乾燥対策として何ができるのか
冬は空気が乾燥するので湿度を上げるための対策をしておくと、健康を保ちやすい環境をつくることができます。
加湿器で乾燥対策
最も簡単で効果があるのは加湿器を使用することでしょう。加湿器は色々なタイプのものがありますが、どのようなものを使用しても空気中の湿度を上げることができます。
中には使用中に高温になるタイプのものもあるので家に小さな子供がいたりペットを飼っていたりする家は、やけどをしないような対策も合わせてしておきましょう。
また加湿器を使う時の注意点としては加湿機自体のメンテナンスをしっかりと行っておかないと内部でカビが発生して、カビを空気中にまき散らしてしまう恐れがあります。そうなると湿度を上げることはできても、かえって体に害を与えるので気をつけましょう。
濡れタオルで乾燥対策
また加湿器を使うには費用がかかりますので、もっと簡単に手軽に行える方法として濡れタオルをつるすという方法があります。
これは単純にタオルを濡らして部屋にかけておくという方法で濡れたタオルから水分が自然に蒸発することで部屋の湿度を上げることができます。同じような原理で、洗濯物を部屋干しにするという方法もあります。
洗濯物が乾く時には洗濯物にある水分が空気中に蒸発していくので、乾燥していると感じる部屋に洗濯物を干すようにすると一石二鳥です。
洗濯物以外でも、紙のようなものを濡らして置いておくタイプの加湿器も販売されています。このタイプであれば使用している間の電気代もかからないのでお手軽に利用できます。
霧吹きや蒸気で乾燥対策
もっと直接的に空気中の水分を増やす方法としては霧吹きで水をまくという方法もあります。
空間に向かって直接霧吹きで水を出せば、水分の一定量は空気中に残ります。しかし、水を出し過ぎると床が濡れるので、一気にたくさんの水を出さないようにして使用しましょう。
他にもストーブなど直接熱くなる暖房器具を使っている時には、その上に水を入れたやかんをのせておけば、お湯が沸いて蒸気が出るので湿度が上がります。
これと同じようなものでは、お風呂場のドアを開けておきお風呂場で出た湯気を部屋に回すという方法もあります。お風呂を使用している時間だけしか使えませんが、一時的にでも湿度を上げておけばしばらくはその湿度が維持されるでしょう。
エアコンの設定で乾燥対策
あとはエアコンを使い過ぎないという方法も乾燥しすぎることを予防します。エアコンの設定温度を高くし過ぎたりすると、乾燥が強くなってしまいます。
寒い日には、ついエアコンの設定温度を高くしたくなりますが、エアコンを使用する時には同時に湿度を上げられるものを併用するようにすると良いでしょう。
マスクで乾燥対策
部屋の空気そのものの湿度を調整する以外の方法としては、マスクをつけるという方法があります。マスクをつけることで空気が直接口に入ることを防ぎマスクが加湿器の役割を果たします。
自分で吐いた息の湿度がマスクに蓄えられるので、次に吸う息が加湿されて体に入ってきます。室外でもマスクをつけることで乾燥対策をすることができますのでおすすめの方法です。
まとめ
日本の冬は元々空気が乾燥していることに加えて、暖房器具などを使用することで更に湿度が低くなっています。湿度が低くなることで体や肌に悪い影響を与えてしまうこともあるので、できる限り適切な湿度が保たれるように対策を行うことが大切です。
湿度を上げるためには色々な方法があるので、それぞれの都合に合わせて自分ができる方法で湿度を調整してみてください。適切な湿度を保つことでインフルエンザや風邪の予防になり、体調を守ることもできます。