他の動物の肉とは違って脂肪が少なく、ヘルシーな印象のある羊肉ですが、同じ羊の肉という意味でラムとマトンの2種類があることに疑問を抱く人は少なくはないでしょう。
呼び名が違うということは何か違いがあるということなのだろうという予想はつくのですが、一体どのような差があるのでしょうか。実はどちらを選ぶかで肉の味も違えば料理も違ってくるのです。
羊の肉についての基礎知識として知っておくと、お店に行ってから迷うこともなくなります。
この記事の目次
ラムとマトンの違い
ラムとマトンというのはどちらも羊の肉です。この2種類の肉の違いを決定づけるのは精肉される時期の違いです。
ラムの特徴
ラムは食用となる羊肉の中で、生まれて1歳(生後12ヶ月)未満の羊の肉のことをいいます。
幼い子羊からとれた肉なのでとてもやわらかく、まだ草ではなく母親のお乳を飲んで育っている子羊には臭みが少ないことから、高級料理には欠かすことができない貴重な食材の1つとなっています。
マトンの特徴
それに対してマトンというのは食用となる羊肉の中で、2歳(生後24ヶ月)以上になった肉のことをいいます。ある程度成長していることから子羊に比べて肉質がかたくしっかりしていて、また草などを食べて育っているのでラムよりも臭みがあります。
そのためラムよりも安価で手に入れることができ、ジンギスカンやスパイスをたくさん使うエスニック料理などによく使用されます。羊肉の臭みというのは独特なもので、普段私たち日本人が食べ慣れている鶏肉や豚肉、牛肉からは感じられないものがあります。
そのため好き嫌いが分かれやすいですし、料理によってもラムを使うのかマトンを使うのかという使い分けをする必要があります。
ホゲットという種類もある
実はこのラムとマトンのちょうど中間となるホゲットというものもあります。ホゲットは生後1年以上2年未満(生後12~24ヵ月)の羊肉のことをいい、国や地域によっても微妙な差があります。
そのため厳密に規定されておらず、国によってはラム以外の羊肉はすべてマトンと呼ばれている場合もあります。
肉の種類で栄養素も変わる
精肉される時期によって種類が分けられる羊肉ですが、実はそれ以外にも違いがあります。それは肉に含まれる栄養素です。ラムとマトンで見ると、どちらかと言えば栄養素が豊富なのはマトンの方です。
とてもやわらかくて臭みがないという良さを持つラムに対し、マトンはある程度成長していることからその栄養素も豊富です。高タンパクで低カロリー、低コレステロール、更にはミネラルやビタミンB群も豊富に含まれています。
マトンはダイエットにも良い!?
肉はダイエットの大敵だというイメージが定着していますが、羊肉の中でもマトンは余計な脂肪がないのでダイエット中に食べても太りにくい肉なのです。
更には脂肪燃焼を助ける成分であるL-カルニチンを含んでいるので、ダイエット中に食べた方がより効率よく痩せることができる言っても良いでしょう。
それでも肉であることにかわりはないのですが、羊肉に含まれる脂質は体内に吸収されにくい性質を持っているため心配することはありません。
ダイエット中だからといって肉をガマンする必要はないのです。どうしても不安なのであれば、鶏肉や豚肉、牛肉などを少しガマンして、羊肉を選ぶように習慣づけると罪悪感を感じることもなく肉を楽しむことができます。
このようにラムとマトンには同じようで同じではないという様々な違いがあります。それを事前に知っておくことでより美味しく羊肉を食べることができますし、更にはダイエットの手助けもしてくれるというメリットがあります。
ラムやマトンが使われる料理
同じ羊肉であっても、ラムとマトンでは味が全然違います。そのためどのような料理を作りたいかで肉を使い分けることが大切です。
羊肉は多少なりとも独特のクセがあります。マトンに比べてラムの方があっさりとしているとは言っても、鶏肉などのようにまったく臭みがないかと言えばそうではありません。
つまり、きちんとした味付けや調理法をしなければおいしく食べることができないということです。羊肉は基本的には焼くか煮るかの2種類の調理法に分かれます。
ラムが使われる料理
やわらかい肉質のラムは、ラムチョップなどにされることが多い肉です。
ラムチョップは少し濃いめに塩、胡椒で味付けをして焼くだけの簡単な調理法ですが、ラムのうまみややわらかさをダイレクトに味わうことができます。また細切れ状態の肉であればよくジンギスカンに利用されます。
マトンが使われる料理
それに対しマトンは肉質がかためなので、煮込み料理に利用されることが多い傾向にあります。ラムに比べて臭みがあるマトンは、塩、胡椒というシンプルな味付けでは食べられないという人も少なくはありません。
そのためスパイスをきかせて煮込むことでその臭みをやわらげ、またやわらかくして食べることができるのです。臭みをとる工夫さえすればエスニック料理やカレーなど様々な料理に活用することができます。
マトンもラムと同様にジンギスカンで食べられることが多く、しっかりとした味のタレであればマトンもおいしく食べることができます。
ラムは万能!
臭みが少ないラムというのはラムチョップにされることが多い傾向にはありますが、マトンと同じように煮込み料理にしてもおいしく食べることができます。
つまり羊肉の料理を作るのであればラムを使用すれば間違いはないということです。しかしラムよりも安価で手に入るからといってマトンをラムと同じように調理するとそのかたさと臭みから食べられない場合があります。
そのためマトンを使うのであればマトンの調理法を選ぶことを忘れてはなりません。
機会があれば食べたい羊肉
羊肉は余計な脂肪が少ないので、歯ごたえもありますし食べていて満足感が得られる肉です。そういう意味でもダイエット中の人にはうってつけの肉なのです。
鶏肉や豚肉、牛肉など私たちが普段食べ慣れている肉類に比べればスーパーなどで見かける機会も少ないですし、それを自分で調理する機会というのはもっと少ないでしょう。
しかし自分で調理するとしても、またお店で食べるとしても事前にラムやマトンに関する知識を持っておいて損はありません。基本的な知識を持っていればどういった肉を食べれば良いのかが分かるからです。
羊肉独特の臭みが苦手な人や食べ慣れていないという人は、多少高級であってもラムから食べてみるようにすると良いでしょう。
そして羊肉のおいしさを感じるようになったら、次はマトンに挑戦するというようにシフトしていくと馴染みやすくなります。ダイエットに良いということが分かってから多くの女性から注目を集めているため、羊肉を扱う飲食店も多くなってきています。
まとめ
この世には同じものでも別の名称がついているものがたくさんあります。その中には地域によって呼び名が違うだけで内容としてはまったく同じものを指している場合もあれば、ラムとマトンのように同じものでも違う状態のものを指している場合があります。
この違いを知っているかどうかというのは羊肉を扱ったり食したりする上で大切なことにもなってくるので、知っておいて損はないでしょう。特に調理をする側はこの違いを知っておかなければおいしいものを作ることができないので注意が必要です。