カルビーは主力商品であるポテトチップスに関して、販売終了・販売休止をそれぞれ発表し、ピザポテトなどの大人気商品が一時販売休止になる騒ぎになりました。
また、他のメーカーでもポテトチップスの販売を取りやめるなど騒ぎは拡大する一方となっています。
一番の売れ筋であるものだけはなんとか休止しないようにするため、うすしおやコンソメパンチは残しつつ、ピザポテトは休止にする苦肉の策がこうした結果になっています。
ただ、他にもポテトチップスを販売する会社はあるものの、なぜ一部の会社でこうした事態になったのかですが、2016年に発生した台風と大きな関連があります。
一日も早い販売再開、正常化を願うばかりといったところです。
この記事の目次
台風の影響でじゃがいもが不足した
台風によってじゃがいもが不足したと言われていますが、じゃがいもの生産量のトップは北海道であり、実に日本全体の8割近い生産量を誇ります。
ポテトチップスを生産していた会社もほとんどを北海道のじゃがいもに頼っており、他の地域で生産されているじゃがいもを確保したとしてもそのほとんどが北海道のじゃがいもであるために、ここが大変なことになると生産活動に大きな影響を与えます。
非常に珍しい台風
そんな北海道に台風が襲い掛かったのは8月中旬から下旬にかけてのことです。特に台風10号は気象庁が統計を取り始めた1951年以降で史上初めて東北地方の太平洋側に上陸し、北海道では川の堤防が相次ぐなど水害が発生しています。
その2週間前からそのときまでに3つの台風が襲来し、台風10号が止めを刺すような形になってしまいました。
台風がもたらしたポテトチップスへの影響
こうした中、ポテトチップスを製造していた工場が水害によって浸水し、操業ができない状況に追い込まれ、また8月の時期はじゃがいもの収穫が始まっているタイミングであり、8月後半の立て続けに発生した水害により、じゃがいもの収穫に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。
9月から北海道のじゃがいもを利用して作ろうとしていた会社にとっては大打撃となり、何とかかき集めようとしても限界があり、休止となりました。
休止のポテトチップスはいつ販売再開するのか
気になるのは販売再開がいつになるかですが、じゃがいもの収穫は九州で始まり、5月下旬からはいわゆる新じゃがを堪能できるようになります。
これを境にじゃがいも不足は解消される見込みとなりますが、じゃがいも不足の混乱が根強いことや九州だけでは到底北海道の生産量に足りないことなど、まだ長引く可能性も考えられ、しかも天候がどうなるかは不透明な情勢です。
こうしたことから販売再開はまだ未定と言わざるを得ないのが実情です。
こうした状況を受け、北海道では例年以上の種芋を用意し、じゃがいもの生産量を回復させようとする動きが強まっています。
ポテトチップスの需要は根強く、年々作付面積を増やしている矢先の出来事だったため、こうした混乱になったことから、生産体制を強化することで痛手を和らげようとする狙いがあります。
北海道のじゃがいもが収穫されるのは秋口であることから、少なくとも秋以降までは綱渡りの状況が続きます。
ポテトチップスの販売再開はいつになるかを予測すると、うまくやりくりできれば夏、北海道のじゃがいもを待つなら秋以降というのが妥当と言えるのではないでしょうか。
過去の不作が与えた市場への影響
農作物の不作によって大きな影響を与えた事案というのはじゃがいもだけに限りません。
記憶に新しいところでは1993年の米騒動も大きな問題になり、店頭から米がなくなる騒ぎに発展し、ニュースにもなりました。
1993年は日本全国で記録的な冷夏となり、全国で梅雨明けが発表できないなど、異常事態でした。そんな中、お米の生育にも大きな影響が出てしまい、米不足となったことで大騒ぎとなったというのが真相です。
お米の収穫量を示す作況指数は100が標準となりますが、1993年は全国で74と歴史的な低水準でした。今までの過去最低は第二次世界大戦末期の1945年の67であることから、いかに低いかがわかります。
しかも、東北地方では20台、30台といったあまりに低いところや収穫が皆無だったことを示す0を記録したところもあったことから、米不足はとても深刻なものでした。
お米の不作だとどうなるのか
消費者レベルの影響として、店頭から米が消えるだけでなく、異常な値段で、しかも普段お米を売らないようなところで販売され、そこに人が殺到するような状態でした。
また、米不足から海外へ米を輸入するところにまで行きましたが、日本のお米に慣れている人たちにとってタイ米などは全く口に合わず、生活のために食べる人はいたものの好きで食べるという人は少数派であり、高くても日本のお米を食べるという人が多くいました。
こうした米不足にピリオドが打たれたのは翌年のことで、沖縄で早々に生産されたお米が流通し、さらに翌年は一転猛暑となり、お米の生育が劇的に改善し、米不足は解消され、それ以降何不自由なくお米を食べることができるようになっています。
それまでに行われた減反政策やお米の流通など、問題が指摘されながらも改善してこなかったツケを払わされることになりました。
世界的な不作
世界中で大騒ぎになったのは小麦の不足です。
干ばつなどの影響で小麦の生育がままならない状況になることが定期的に訪れます。そのため、一たびそうした状況に追い込まれると小麦の価格は上昇していき、日本の流通に大きな影響を与えます。
日本ではうどんやパン、パスタなど小麦を使う製品を多く食べるという傾向にあり、小麦の値段高騰は家計の財布を直撃する大問題です。
小麦の場合、日本の生産量だけで何とかするというのは到底できず、生産量を強化すれば解決する問題でもありません。日本での天候不順による不作を心配するだけでは不十分であり、世界に目を向けて不作に備えることも大事になります。
不作からの品薄に
お米に関しても小麦に関しても、日本人の主食であり、頻繁に口にする食品がとても多いため、決して他人事ではありません。
ただ、不作が毎年のように起きるのも事実であり、野菜が天候不順で全く生産されないこともあれば、水産物が何らかの要因で漁獲量を激減させ、値段が高騰することもあります。
特にこうした不作は天変地異が頻繁にある、もしくは何かしら明確な事情があるから起こるものであり、平年どおりの天候が続けば間違いなく起こらないものです。
つまり、台風が直撃し甚大な被害が発生した場合、その地域の特産物が何かわかれば、事前に対処もできるという見方もできます。
不作からの品薄になる前に
不作の影響を受けるのは台風などが直撃してからすぐというよりは、いったん時間を置いてから発生します。
ポテトチップスもそれまでは備蓄していたものや海外から輸入したものでなんとかしのいだものの、そろそろ限界を迎え、2017年4月に販売休止に追い込まれました。
販売休止が発表してから買い付けに走るのは仕方ないため、その前に予測しておき、買いだめできるものは買いだめしておくなどをして、不作による騒動に備えることも必要です。
まとめ
米不足のときは翌年の猛暑により急回復し、それ以上の騒動にはなりませんでした。それでもだいたい半年以上は騒動が鎮火するのに時間がかかっています。
牛丼が一時生産中止になり、牛丼屋から姿を消した時も時間をかけて回復させていき、結構な時間がかかりました。水害で影響を受けた工場の復活や他の生産工場のライン強化を考えるとかなり時間が必要なのは仕方ないことです。
ポテトチップスもいずれ近いうちに食べられることを願いながら、待つほかありません。