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ボジョレー・ヌーヴォーには、なぜ解禁日があるのか

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ボジョレー・ヌーヴォー

「11月の第3木曜日」と言えば、一年に一度ボジョレー・ヌーヴォーが解禁される日です(2017年は11月16日木曜日)。

「解禁されるまでは飲めない」といった縛りがあると、なおさら盛り上がるというものですが、そもそもなぜボジョレー・ヌーヴォーだけに解禁日が存在するのか、他の種類のワインと比べて何が違うのか、など疑問に思う方も多いでしょう。

解禁される日が決まっているボジョレー・ヌーヴォーの背景には、ある理由があるのです。

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ボジョレー・ヌーヴォーとは

ボジョレヌーボー

ボジョレー・ヌーヴォーの意味

ボジョレー・ヌーヴォーとは、フランスのブルゴーニュ地方に位置する「ボジョレー」地区で作られる、その年に収穫された葡萄を使った赤ワインを指します。

「ヌーヴォー」はというと「新酒」を意味し、「ボジョレー地区で作られた新酒」といった意味になります。もともとフランスはワインに関連する規制が厳しいことから、ボジョレー地区以外で作られたワインを「ボジョレー・ヌーヴォー」と呼ぶことは禁止されています。

このワインはフランス語で「Beaujolais nouveau」とラベルに書いてある事が多いですが、日本ではこれを無理やりカタカナにして「ボージョレ・ヌーボ」や「ボジョレヌーボー」など表現に揺れがでてきていますが、すべて同じボジョレー・ヌーヴォーのことです。

ボジョレー・ヌーヴォーはその年収穫されたブドウで作られるので、ブドウが良質かどうか確認する意味合いも持っています。ワイン愛好家が待ちわびるボジョレー・ヌーヴォーは渋みがなく軽めな味わいなので、ワイン初心者の方でも飲みやすいと好評です。

ボジョレー・ヌーヴォーの特徴

ボジョレー・ヌーヴォーと通常のワインとの違いは、その製法にあります。ボジョレー・ヌーヴォーの製法は、ブドウを潰さないで発酵させる醸造法が用いられます。

ブドウの発酵によって生じる炭酸ガスの中に、数日間置いておく醸造法です。独特な製造方法のため、ごくわずかに炭酸ガスを含有します。

また、ボジョレー・ヌーヴォーは清涼感も感じさられるワインに仕上がっている点が特徴的。果皮および種から溶出したタンニンと色素が少ないので、色も比較的薄くて口当たりが柔らかいワインです。フレッシュかつフルーティーな味わいになります。

一般的なワインの場合は熟成している状態のまま出荷され、温度が管理されたワインセラーに置くことによって味が向上しますが、ボジョレー・ヌーヴォーはこれ以上は熟成しない状態で出荷されるので、長期間の保存には向いていないという特徴があります。

そのため、ボジョレー・ヌーヴォーは基本的に製造年内の消費が推奨されています。

一方、普通のワインの場合は、ブドウの果汁を発酵させて作ります。そして1年から3年ほど樽の中でじっくり熟成させます。この工程を踏むので、深くて豊かな味わいになるのが特徴です。

これに対してボジョレー・ヌーヴォーの良魅力は、何と言っても癖がなく、フレッシュな味わい。ワインの渋味を好まない方でも美味しく飲める点がボジョレー・ヌーヴォーの良さと言えます。

日本でも人気の理由

注がれるボージョレ・ヌーボ

そもそも日本では、「初物」は福がやってくる縁起物とされ、好まれる傾向があります。日本における輸入量は世界一位でフランス本国より人気が高く、全生産量のおよそ4分の一を占めると言われるほど。

ワインの中でもボジョレー・ヌーヴォーは手軽な価格で手に入る点も、人気が高い理由の一つと言えるでしょう。

しかも、時差の影響で先進国において最も早くボジョレー・ヌーヴォーが解禁される国は日本です。他国と比べていち早くボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を迎えられることも、人気の要因になっています。

日本では毎年0時を迎えると、ワインを一斉に開けて楽しむイベントが定着しています。ちなみに、ボジョレー・ヌーヴォーの賞味期限は、2ヶ月から3ヶ月ほどです。クリスマスや成人式などのお祝いとして贈るのにも最適と言えるでしょう。

解禁日がある理由

赤ブドウの品種

日本にボジョレー・ヌーヴォーが渡ったのは80年代になってからです。

軽めで口当たりが良いボジョレー・ヌーヴォーは飲みやすさから瞬く間に人気になり、今では日本で最もワインの売り上げがアップする年に一度のイベントの一つになっています。

最近では、よりしっかりした飲み口のボジョレー・ヌーヴォーも登場し、消費者の好みによって選べるようになっていますが、1年中飲めるわけではありません。「解禁される日」が設定されている理由は何なのでしょうか。

当初は解禁日が違っていた

ボジョレー・ヌーヴォーが解禁される日は、毎年11月の第3木曜日に定められています。この日はフランス政府が定めたものですが、フランスではもともとワインに関連する規制が詳細に決められています。

例えば、産地ごとに用いるブドウの品種や製法まで決まっています。その年収穫したボジョレー地区の新鮮で美味しいワインは地元の人々に親しまれるワインでしたが、ヌーヴォーという名称が付けられたのは1951年になってからです。

当時はフランス政府によって、ワインが解禁される日は全て12月15日に決まっていました。しかし、ボジョレーの地元の人々が反発し、ボジョレー・ヌーヴォーだけ解禁を早めてもらうように頼みます。

その願いは聞き入れられ、フランス政府によりその後11月15日が解禁の日として定められました。現在の解禁日である11月の第3木曜日に定められたのはもう少し後です。

現在の解禁日になった経緯

ワインの樽

ボジョレー・ヌーヴォーはパリのレストランで大ブームが巻き起こりました。やがてこのワインの美味しさが世界に認められ、世界でも人気が高まり始めた頃、ワインの売り手は我先にボジョレー・ヌーヴォーを出荷し、やがて競争が引き起こされてしまいます。

その結果、出荷には至らないようなワインまで出回ってしまうことに。こうなると、ボジョレー・ヌーヴォーの質まで落としかねません。そこで、解禁する日を定めて、その日までは販売することも、飲むことも禁じられました。

解禁の日を定めたことで、このワインの品質を維持しようとした訳です。しかし、1967年に決められた「11月15日」の日付は、当日が土日祝日と重なるケースも出てきます。

フランスは「安息日」には働かない習慣がある国なので、解禁日が土日祝日に重なると、ワインの運送会社が休んでしまい出荷が不可能になってしまいます。

このことが理由で、1984年に政府はボジョレー・ヌーヴォーの解禁日を「11月の第3木曜日午前0時」に変更する解決策を考え出します。これなら平日なので、運送にも影響しません。

国によって若干誤差がありますが、世界共通で「11月の第3木曜日」です。このように、解禁日を設定したことによって、結果的に商品としてのボジョレー・ヌーヴォーの品質が維持され、「ボジョレー・ヌーヴォー」のブランドネームが傷つのを防ぐことができたという訳です。

まとめ

ボジョレー・ヌーヴォーに解禁日が決められている理由についてご紹介しましたが、いかがでしたか。収穫したてのガメイ種から造られたフレッシュな風味のワインは、1800年代からボジョレー周辺の人々を中心に親しまれていました。

やがてパリに大ブームを引き起こしたというエピソードからも、このワインの魅力を垣間見ることができます。毎年楽しみに待つファンが沢山存在する、フルーティなボジョレー・ヌーヴォー。お祭り気分を味わいながら楽しんでみてはいかがでしょうか。

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