心身に影響を及ぼす悪い習慣はたくさんあります。飲み過ぎや食べ過ぎ、飲酒や喫煙、さらに長時間のSNSなど例を挙げたらキリがありません。そのほとんどは過剰と言える行動に走っているわけですが、その行動を止めようと決意してもなかなか上手くいかないところが困りものです。
まずは「悪い」と思っていても続けてしまう理由を自覚したうえで、止める方法を身につける必要があります。つまるところ体に染みついた習慣を止めるにはコツがいるというわけです。
この記事の目次
悪いと思っていても続けてしまう理由
「悪い習慣になっている」と自覚して止める方法を実践していたとしても、続けてしまう人は必ずいます。それは止められない人が悪いのではなく、強いて言うなら「人間に備わった欲求」が悪いとしか言いようがありません。
そもそも「悪い」と思っていても続けてしまうのは何故か。それは簡単にまとめてしまうと「気持ちいい」からです。どんなに怠惰な人でも「気持ちいい」と感じている習慣は続けやすいものです。
悪い習慣と4つの欲求
もう少し具体的に、この「気持ちいい」という感情の中身を取り出してみると4つの欲求で成り立っている事が明らかにされています。
まず1つ目の欲求は「安定感」、次に挙げられる2つ目の欲求は「不安定」、3つ目の欲求は「他人に尊重されたい欲求」、そして最後の4つ目の欲求は他人との繋がりが感じられる「愛」です。
これらの欲求はアメリカの心理学者であるアブラハム・マズローが提唱した「自己実現理論」を用いて説明した方が理解しやすいかもしれません。
自己実現理論から考える欲求
「自己実現理論」とはアブラハム・マズローが「人間は自己実現に向かって絶えず成長する生き物だ」という考えを前提に人間の欲求を5つの段階に分けて説明したものです。
「自己実現理論」では人間の欲求はピラミッドの形で表現されており、低い位置にある欲求ほど生理的な欲求だとされています。逆に言えば生理的な欲求が満たされれば満たされるほど人間特有の理性的な欲求が高まるというわけです。
その5段階のピラミッドは下から順に生理の欲求、安全の欲求、社会欲求と愛の欲求、承認の欲求、そして自己実現の欲求とされています。このうち悪い習慣に関わっているのは生理の欲求と自己実現の欲求を除いた3つの段階に存在する欲求です。
安全の欲求は安定した状態を得ようとする状態を指しています。その1段階上に位置する社会欲求と愛の欲求は他社に受け入れられている感覚を求め、承認の欲求はさらに集団の中でも注目を浴びようとする状態です。
これらの欲求を満たさないと人間は劣等感や無力感、孤独感など精神的なストレスを抱えると言われています。要するにこれらの欲求を満たすツールを見つけてしまうと人間はその欲求を満たすために際限なく行動してしまうリスクが高いという事です。
不安定も欲求の一つ?
欲求を満たすツールが安定と不安定を両立したものであれば尚更危険であります。不安定という言葉は一見するとマイナスイメージがつきまとうものですが、人間の欲求を満たすうえでは欠かせません。
人間は脳のメカニズムのせいで非常に飽きやすい生き物であるため、常に新しいものや好奇心が湧くものを探します。例えばいつもは家の中で過ごす休日を、気分によっては旅行やレジャーをして過ごしたりする理由は「飽きた」という感情を放出させるためです。
実際に悪い習慣として挙げられるゲームやSNSは、ゲームのシステムや他のユーザーといった自分では思い通りにならない要素も多く、不安定さがつきまとっているといえます。
おまけにこれらは他の欲求を満たす条件も整っており、結果として気持ちよさを人間に提供してしまい、その行動を続けさせてしまうというわけです。
悪い習慣を止める方法
悪い習慣を止める方法は様々ありますが、簡単に止める方法は限られています。
まずは強めのブレーキを
止める方法の第1段階として行うべきことは、悪い習慣が始まる前に強くブレーキをかける事です。たったそれだけで意識が変わります。実際に脳内で分泌されるというドーパミンは気持ちよさを感じるツールから遠ざけるなり手放すなりすると落ち着くとされています。
それだけで意識は改善され、次第に習慣は止まるわけです。例えば過剰に喫煙する方は禁煙道具を持たない事を、ゲームが好きな方はゲーム機に触れない事など自身に習慣をさせない状況を作り上げます。
止めるためにできる工夫
強めのブレーキは非常に重要ですが、それだけでは習慣が止められないかもしれません。
そのため今度は2つ目のブレーキを踏み込みます。それは悪い習慣にノルマを課す事です。この方法は悪い習慣を止める方法として広く知られています。
人間とは不思議なもので、たとえ好きな食べ物であったとしても「今日から好きなものを5個食べなさい」と指示されると嫌気が差すそうです。しかしその心理が止める方法として活用できます。
あとは自分で自分を追い込む方法も悪くありません。目標を他人の、特に大勢の人がいる前で宣言すれば否応なしに目標達成のために行動しなくてはならないからです。
もしもその目標を聞いた他人がその事を覚えていれば話題として「あの目標どうなったの」と声をかけてくるのは言うまでもありません。
止めた後に何が待っているか
どんなにブレーキを強く設定しても緩めてしまう恐れはあります。
そもそも人間にとって気持ちの良いことは、他人の目には自傷行為にしか見えないことであっても、その人が気持ちよければ問題ないという考えになってしまっています。
そんな気持ち良い事を止めようとしてもストレスがかかるのは目に見える事です。しかし、そんなストレスを緩和する方法が実はあります。
それは「悪い習慣を止めたらどんな良い事が待っているか」を出来るだけ紙に書いていくことです。面倒かもしれませんが、書いていくと止めた際にもたらされるメリットが頭で考えるよりも、どんどん浮き彫りになっていきます。
止め方を他の人から学ぶ
それでも悪い習慣を止められないという人は上手くいった人のやり方を真似る方法をおすすめします。この方法は習慣を変えるための方法に限らず、仕事や趣味にも共通している事です。
この方法の良いところは自分のやり方を捨てられる点に尽きます。上手くいかなかったとしても自分に馴染んでいる方法を止めるのは難しい事です。
それは一から十までのテクニックを再構成しないといけないからですが、その点、上手くいった人の方法を真似る方法は一から作り出さずともテクニックを身につけられるので簡単に出来ます。
まとめ
悪い習慣を止める方法は心理的には難しいものです。どんなに悪い事だとしても「気持ちいい」と感じた以上、それをもたらしたツールにブレーキをかける事は並大抵の自制心ではコントロールできません。
しかしたった一瞬のブレーキだったとしても体に馴染んだ習慣を止める事はできます。その方法を繰り返しながら改めて体に馴染ませる事が自分を変えるうえで大切なポイントだといえるでしょう。
ノルマや宣言、他の人の方法を真似るといった様々なテクニックを挙げましたが、失敗しても挫折せずに、止める努力を続けていくという気持ちが一番重要なのです。