山ガールという言葉が一時期非常に有名になったように、余暇の過ごし方として、アウトドアを選ばれる方は近年とても増加しています。
休日を自然の中で過ごし、心が洗われるという人も多いのではないでしょうか。しかし、自然の中には、危険な生物たちが、そこで暮らしているということも念頭に置かなくてはなりません。
その中には、命にかかわるような動物がいることもありますので、今回は「山」の危険生物について、紹介していきます。
この記事の目次
山の危険生物と対策
登山の際、注意すべき危険な生物たちについて、紹介します。
熊
山と聞いて危険な生物と聞くと、やはり一番に出てくるのは熊ではないでしょうか。北海道で多く見られるのは、ヒグマ、本州でよく見られるのは、ツキノワグマです。
熊に遭遇したときの対策についての記事はこちらを参考にしてください。
蛇
その他の危険生物といえば、ヤマカガシやニホンマムシ、ハブといった毒蛇に分類される生物たちです。
ヤマカガシやハブについては、その特性や血清によって死亡例はかなり少なくなってきていますが、ニホンマムシに関しては、もし見かけたら近づいてはいけません。非常に攻撃的な生物であるうえ、その毒性はとても強力です。
登山を行う際には、これらの危険な生物たちが存在していることを念頭に置き、注意・対策を行う必要があります。具体的にどのようなことができるのでしょうか。
しっかりとした服装
まずは、服装について可能な限り、露出の少ない厚手のものを着るようにしましょう。
先ほど紹介したヤマカガシは確かに毒蛇で注意が必要な生物なのですが、毒牙が短いため、厚手の服を着ていれば、体内に毒がまわらないことも多くあります。
手がかりとなるフィールドサイン
次に、フィールドサインを知っておくことが重要です。普段から登山をよくされる方であればご存知かもしれませんが、フィールドサインとは、自然の中に残された動物の痕跡のことをいいます。
例えば、足跡や食べ物、フンなどのことです。動物の生態を知り、その痕跡を見かけたら、近くにその生物がいる可能性があるということがわかるだけでも、心構えが変わってきます。
一部、紹介いたしますと、ハエの仲間であるキバネクロバエを見かけた場合、その付近にクマがいる可能性があります。このハエの幼虫は、クマのフンを食べながら育つという特性を持っています。
したがって、キバネクロバエを発見したら、その付近にクマがいる可能性があるということです。
もちろん、フィールドサインを見つけたからといって、確実にその生物が付近におり、ただちに危険が迫っているということではありませんが、危険を回避するための一つの指標として、全てではないにしろ、フィールドサインを知っておくというのは有用でしょう。
十分な知識が必要
山には、上記のような危険生物たちの他に、危険な植物もあります。中には触ってしまうだけでかぶれてしまうものや、誤って口に入れてしまうと猛毒となるものもあります。
山菜取りなどで、山へ行かれる方もいらっしゃるかと思いますが、しっかりとした知識を身につけ、安全に登山を楽しみましょう。
死に至ることもある意外な危険生物
マダニ
死に至ることもある意外な危険生物として、マダニがあげられます。ダニと聞くと、多くの方は家のカーペットや畳に生息している小さなものを想像されるかと思いますが、それとは全く別の種類です。
マダニは野山の草むらに生息しており、蚊などと同様に、動物の呼気に含まれる二酸化炭素に反応して飛びつき、血液を吸います。
血を吸うだけであれば問題ありませんが、マダニが吸血する際に注入する物質がアレルギー症状や感染症を引き起こすのです。
この感染症によって、ひどい場合には死亡に至るということもありますので、マダニに対する知識をしっかりと持ち、対策が必要です。
マダニからの被害を予防
まずは予防という観点で、対策を紹介します。予防の一つは、やはり露出の少ない服装を心掛けるということです。
マダニはその身体的特徴から、肉眼でも確認できるほどの大きさですので、できるだけ明るい服を着用していれば、服に付着している場合も発見することができます。
それから、もちろん可能な限りということにはなりますが、生息地となっている草むらに極力入らないようにすることが重要です。上記のような予防を行ったうえで、防虫剤を活用していれば、予防という観点では、完璧でしょう。
マダニの性質
もしマダニに噛まれたら慌ててしまうかとは思いますが、無理にひきはがそうとするのは非常に危険です。
マダニの吸血方法は少し変わっており、皮膚のうすい個所に対して噛みつき、そのノコギリのような歯を皮膚の奥に差し込みます。そのうえで「出血した血液」を吸うのです。
さらにそれだけではなく、唾液によって接着面から簡単にはがれることのないように工夫をしています。
無理に引きはがそうとすると、皮膚に食い込んだ歯や頭の部分だけが残り、傷口が化膿して、感染症にかかる可能性を高めてしまう場合があるのです。
マダニに噛まれたときの対処法
噛まれてしまい、マダニが居なくなった場合は掻かないようにして、ダニにも効く虫刺され用の塗り薬を塗りましょう。その後はすぐに病院へ行きましょう。
未だマダニが吸血している場合は、そのまますぐに医療機関を受診して状況を適切に説明することです。
場合によっては、患部を切開して処置を行うという可能性もありますが、感染症にかかる可能性を考慮すれば、医療機関にかかり処置をしてもらうというのが一番良いでしょう。
マダニの感染症
マダニを介した感染症としては、いくつかありますが、重症熱性血小板減少症候群やライム病、日本紅斑熱があげられます。それぞれ、発症する症状は異なりますが、いずれも気を付けなくてはならない感染症です。
場合によっては手術が必要になるということから、不安に感じる方も多くいらっしゃるかもしれませんが、症状を発症してからでは遅い可能性もあります。
決して安易に考えることなく医療機関を受診し、適切な対応をするよう心がけましょう。しっかりとした予防を行っておき、万一の場合の対策を知っておくことが、安全に、そして楽しんで登山をするためのコツといえるでしょう。
まとめ
山で注意すべき危険な生物について、それから場合によっては死に至ることもある、山に生息する意外な危険生物についても紹介してきました。
これらの危険にはしっかりとした知識を身につけ、適切な予防を行うことが大切です。万一の際の準備も怠らずに、安全に登山を楽しみましょう。
登山を趣味として楽しむ人は非常に増えてきている一方で、それだけ危険に遭遇する場面も多くなりますので、万全な対策をして有意義な登山ができるようにしましょう。