炭酸飲料をよく飲んでいると歯や骨が溶けてしまうという噂があるのをご存知でしょうか。その代表としてよく耳にするのがコーラです。
味に甘みがあり、きつい炭酸が入っている事からそう言われる事が多いようです。また、ネットで調べると実際にコーラをよく飲んでいる人に症状が出たという体験談や口コミも見かけます。
この噂は本当の事なのでしょうか。せっかくおいしい飲み物なので、そのような事は気にせずに飲みたいものです。
この記事の目次
歯や骨は本当にコーラで溶けるのか
コーラは酸性でも影響はでない?
まず歯が溶ける要因の一つとして酸性度というものがあり、pHという単位で表します。歯が溶け始めるpHは大体5.5以下の酸性度の時で、数値が低ければ低いほど酸が強いということになります。
では問題のコーラはどれくらいなのかというと、pHが「2.4」という低さで、非常に酸が強いです。もし、こんなに強い酸の中に歯を1週間も浸けていれば、溶けてしまう可能性はあるでしょう。
しかし、実際には口の中に含んでいる時間はほんの数秒間ほどです。だから飲んでいるだけで溶けてしまうということはほとんどないのです。
唾液の作用で再石灰化
さらに口の中には唾液が出ており、酸性の強さは唾液によって中和されます。唾液の中にはカルシウムが含まれており、歯が少し溶けてしまったとしても再石灰化されるのです。
つまり、よほどエナメル質が溶け過ぎていなければ、何か問題になってしまうということはありません。ただし、1日に何本も飲んで口の中のケアも全くしていなければ、唾液の力でなんとか出来るという話ではなくなりますので注意してください。
コーラの糖分で虫歯になる可能性
コーラが歯や骨を溶かす原因だと言われている理由はもう1つあります。それはコーラに多量に含まれている糖分です。
虫歯の原因となるものの1つに糖分があります。そういう意味ではコーラで歯が溶けるというのは間違ってはいません。とはいえ、同じ条件の炭酸飲料であれば同じことが言えますので、なにもコーラに限った事ではありません。
それでは、同じ炭酸飲料でも糖分が含まれていない炭酸水はどうなのか、気になる人もいるでしょう。
英国で研究された結果によると、炭酸水の多くも酸性であることには違いありません。しかし、水より酸性度がわずかに高いくらいで、炭酸水が原因となってエナメル質や骨などが溶けてしまうという可能性は非常に低いという事がわかっています。
炭酸水によって溶けてしまう確率は、コーラなどの糖分が入っている炭酸飲料と比較すると100分の1以下だとされています。
こういった事から問題となるのは酸性度の強さよりも、どちらかというと糖分の摂取量だという事が言えそうです。炭酸水であれば糖分は入っていませんので、水の代わりに飲む水分として選んでも問題ありません。
コーラで骨は溶ける?
骨に関しては炭酸や糖分が骨に触れているわけではありませんので、直接 影響を受けることはありません。
強い酸や糖分が悪影響となってしまうのは直接触れているからであって、皮膚や筋肉・脂肪などの下に隠れている骨にまで到達することはないのです。
だからといって糖分や酸性度の強いものを大量に口にして良いということでもありません。糖分を多く含む炭酸飲料を、1日に何本も飲むということはやめておいたほうが良いでしょう。
炭酸飲料で歯や骨が溶けると言われる理由
虫歯になりやすくなる可能性
なぜ炭酸飲料を飲むと、歯や骨が溶けると言われるようになったのか。これは炭酸飲料をよく飲んでいる人が虫歯になる確率が高いからだというのが大きな要因だと言えます。
実際のところ、コーラなどの糖分が多い炭酸飲料を毎日何本も飲んでいれば、虫歯になる確率は全く飲まない人に比べて当然高くなります。
前述の通り、歯のエナメル質が溶けてしまい、唾液による歯の再石灰化が追いつかなくなる場合もありますので、歯磨きはきちんと行うようにしましょう。
子供の成長を阻害する可能性
子供の頃に、炭酸ジュースをたくさん飲むと骨が溶けてしまうと言われて育った人も多いと思います。
これは、炭酸ジュースが子供の成長に影響を与える可能性があるということや、大量の糖分によって虫歯になってしまうことを防ぐために、そのような噂が広まったと考えられています。
子供の成長にはカルシウムが欠かせませんが、こういった飲み物には食品添加物が含まれており、これがカルシウムの吸収を阻害する恐れがあるのです。
例をあげると「リン酸」がそうです。リン酸はカルシウムとくっつくことでリン酸カルシウムという物質になります。その場合、カルシウムは体内に吸収されずに排出されてしまいますので、リン酸のとりすぎには注意が必要なのです。
また、コーラなどの炭酸飲料水に含まれる糖分は、虫歯の恐れがあるだけではありません。大量の糖分は体を酸性にしてしまい、それを中和させるために体内のミネラルやカルシウムなどがたくさん消費されてしまうという影響があります。
炭酸飲料の種類によっても異なりますが、500mlのペットボトル1本分に含まれている糖分はおよそ40gから65gですので、角砂糖で言うとなんと10個から16個分も入っているということになります。
他にもコーラにはカフェインが含まれており、睡眠欲を減退させてしまいますので、1日の疲れをしっかりととることが出来ず、子供の場合は成長に必要な睡眠時間を削ることになりかねません。
睡眠不足は集中力を失わせるということにもつながりますので、それらのデメリットはしっかりと把握しておくようにしましょう。
炭酸飲料水を習慣的に飲むのは問題ないのか
では、コーラなどの炭酸飲料水を習慣的に飲み続けることは問題ないのでしょうか。その答えとしては、飲み続けること自体に問題はありませんが、飲む量や飲んだ後のことが大事だと言えるでしょう。
糖分によって虫歯になるのなら、歯磨きをきちんとすれば良いのです。ただし、歯磨きをするタイミングは重要です。
コーラなどを飲んだ直後はエナメル質が柔らかくなっている状態なので、このタイミングで歯磨きをしてしまうと歯を削ってしまいます。特に歯磨き粉には研磨剤が入っているものが多いので、余計に大事な歯を自ら削る事につなげてしまうのです。
ですので飲んだ後に歯を磨くのは良いのですが、そのタイミングとしては飲んで30分程たち、歯の状態が落ち着いてからが良いでしょう。うがいなどもし過ぎないようにします。
そしてコーラを飲む時も大量に飲まずにコップ1杯だけ、多くても週に2、3回だけというように飲む量を制限しておくと良いかもしれません。
まとめ
炭酸飲料を飲むと歯はわずかに溶ける可能性がありますが、きちんと口の中のケアをしていれば唾液によって再石灰化されます。
ただし大量に飲み続けていると、全く飲まない人に比べて虫歯になるリスクは高くなりますので、多くても週に2、3回程度、飲む時もコップ1杯など飲む量を制限して飲むようにしましょう。
骨が溶けるという噂に関しては、炭酸飲料水が直接触れることがないため都市伝説的なものだと言えます。しかし、子供の場合はカルシウムの吸収を阻害をされるといった問題もありますので、デメリットが無いわけではありません。
暑い季節などにはついつい沢山飲みたくなってしまう炭酸飲料水ですが、口内のケアを怠らずに、飲みすぎないように注意しましょう。